新年のご挨拶このページを印刷する - 新年のご挨拶

2024年1月1日掲載

令和6年 年頭所感
NHO 北陸病院 院長 吉田 光宏
 
 あけましておめでとうございます。今年は、初日の出を無事拝めましたが、夕方に能登半島で震災があり、翌日には羽田空港で旅客機事故など、大きな災害が続きました。あまりにも多くの犠牲、今なお苦しい状況にある方も多い中で、言葉もありませんが、DPATや後方支援として、職員一同当院でできる限りの対応をしたいと思います。
 自然災害やヒューマンエラーによる事故は、“零”にすることは難しいですが、事前の備えとその後の対応によって、被害を軽減できます。これは、医療の分野でも重要で、能登半島地震や炎上するJAL機からの避難映像を見て、改めて医療安全対策の重要性が再認識されました。当院は、昨年に第23回富山県公的病院医療安全研究大会を主催し、この大会にポスター発表を初めて導入し、橋本副院長のもとで職員が一丸となり大会を成功裏に終えることができました。ポスター発表の形態は次の医療安全大会でも引き継がれていきます。症状緩和や改善を期待して、病院に来られる患者さんが来院・入院されたことで、自然経過ではなく病状が悪くなるようなことがないようしないといけません。
 また、近年、ACP・人生会議が啓発され普及し、臨床倫理が重要なテーマとなっています。臨床倫理に関しては、検査や治療に関して、患者本人が、知識不足等から、本来望んでないことを医療者が行わないようにしないといけません。医療者自身が受けたいと思わないような延命処置、治療差し控え、緩和ケアの在り方などについて考えていく必要があります。
 第三に、AIが各分野に導入され始め、医療DXが言われています。当院は、いまだに紙カルテですが、2年後に電子カルテに移行する予定で、2024年は、これに向けて準備を進める年になる予定です。災害等で、インフラがダメージを受けた時には、電子カルテは、使えませんが、時代の大きな流れには逆らえません。多くの分野で、AIが導入され、自動車の自動運転が日本各地で可能となるころには、医療分野でも、仕事の軽減がはかられ、働き方にドラスティックな変化が訪れることでしょう。
 今年の当院での診療面でのヴィジョンを共有したいと思います。私が、当院に赴任した12年前の北陸病院は、伸びしろしかない素晴らしい病院という印象でした。2024年を迎えて成長した現在の北陸病院は、今なお、伸びしろしか感じられません。
 認知症疾患医療センターでは、認知症の初期診断と薬物治療、在宅療養のサポート、自宅や施設で対応困難なBPSDの治療・対応を行ってきましたが、昨年末に疾患修飾薬が使用可能になり、これらのニーズに応えるため、従来の活動に加え、ごく軽度の認知障害のスクリーニングを中心とした外来設置や、今後も上市されるであろう新規疾患修飾薬治療の受け入れ態勢を近隣医療機関、PETセンターと連携しながら構築していきます。
 神経難病医療においては、運動障害を中心とした神経難病に関して、診断・治療において、今以上に地域から信頼されるよう診療レベルアップをはかり、情報発信をしていきます。
 精神科・神経科においては、当院の睡眠医療センターは、富山県唯一の日本睡眠学会認定の施設であり、未だに受診に至らない潜在的な睡眠関連障がいは多く、これらに関して啓発、周知を図り、患者さんの生活の質の向上をはかります。また、医療観察法病棟においては、既存のシステムや診療体制の見直しを含め、さらなる診療レベルアップを期待したいと思います。
 昨年度は、当院のブランディングの一環として、「病院理念」を更新し、ホームページ等の広報を中心に周知をはかり、広大な敷地活用や樹木、神社の整備などを行う予定でしたが、病院ホームページのリニューアル含め予定どおり進みませんでした。今年は、こういった課題に積極的に取り組みますので、皆さんのご協力をお願いいたします。
 では、新しい時代への橋渡しとなりそうな2024年もよろしくお願い申し上げます。