院長ごあいさつこのページを印刷する - 院長ごあいさつ

2021年4月1日掲載

院長ごあいさつ

 院長  吉田 光宏  
 国立病院機構北陸病院院長の 吉田 光宏 でございます。
 当院のホームページをご訪問くださり誠にありがとうございます。下記に当院の概況をご紹介いたします。

 北陸病院は富山県西南部の南砺市に位置し、穀倉地帯の砺波平野に連なる田園に包まれており、遙かに八乙女山、医王山を仰ぐ、広大な敷地(東京ドーム約4個分)には正門から続く桜並木や柿や栗などの果樹園、芝生のグランドなどが、四季折々の自然に抱かれた閑静で空気清澄な医療空間を成しています。
 その歴史は、昭和19年の陸軍傷痍軍人療養所から始まり、戦後に厚生省に移管され国立療養所北陸荘となり国民病と言われた結核医療に貢献、そして昭和44年には精神病棟(100床)を開棟しました。その後、国の政策医療として昭和51年に重症心身障がい者病棟、昭和55年に神経難病病棟、平成4年に老人性痴呆疾患治療病棟(現認知症病棟)、平成18年2月に医療観察法病棟(全国5番目)を開棟しました。この間、昭和52年に国立療養所北陸病院、平成16年に独立行政法人国立病院機構北陸病院となり、平成24年4月には富山県認知症疾患医療センター(砺波医療圏)の指定を受けました。
 現在は、精神科病棟172床(一般精神91床、認知症47床、医療観察法34床)、神経難病病棟50床、重心病棟50床の計272床、精神・身体・知的の三障がいを重複して有する方々の政策医療を中心に行っております。平成26年・27年にかけて病棟建替えもすべて終わり、全部で南(1階、2階、3階)、西(1階、2階)、東の6個病棟となりました。
 精神科においては、国レベルの医療として、医療観察法(心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った人に、保護された環境で適切な医療を提供して病状の改善を図るとともに、再び不幸な事態が繰り返されないよう社会復帰を促進し、地域での継続的な医療を確保することが目的で、入退院等の決定は全て裁判所が行う)による指定入院医療機関として、平成18年2月全国5番目に開棟し、当初は沖縄を除く全国各地からの入院を受けいれていました。現在は富山県や石川県出身者が入院の約7割を占めるという地域医療となっており、地域へ退院した後は医療・保健・福祉など多くの関係機関の連携で安心な社会生活支援がなされています。一般精神医療においては、富山県内の措置入院例や重症難治例のクロザピン治療、精神科救急の基幹病院の一つとして、そして高齢化した精神病患者さんの合併症医療やうつ病などの気分障害医療を行っています。また、富山県DPAT(災害派遣精神医療チーム)の指定を受けており、平成28年熊本地震の被災地域において精神医療および精神保健活動の支援を行いました。
 認知症医療においては、高齢化率が35%を超す南砺市唯一の専門病院として、地域連携室が窓口となって様々な相談を受けております。そのなかで早期診断・初期治療には認知症疾患医療センター長で認知症専門医の神経内科医が対応し、激しい徘徊や不眠、幻覚・妄想などBPSD(認知症に伴う心理・行動の症状)などには精神科医が主に診療しています。在宅・施設での療養およびかかりつけ医による医療の継続を基本に、在宅・施設・病院等での対応が著しく困難となっている場合には、最後の砦として短期入院の認知症病棟も運営しております。ひとは生まれた時も誰かの助けが必要であると一緒に、最後を迎える時も誰かの助けが大切となり、そのお手伝いができればとも思っています。ただ、高齢化と人口減少が急速に進む当地域において、施設基準の厳しさやスタッフ確保の難しさなどから、住民の方々の期待に十分に添えないことがあることを心苦しく感じています。また、看護師を対象として、認定看護師や作業療法士など多職種が関わる認知症ケア研修を毎年秋に開催するなど教育・研修活動にも力を入れています。さらに、平成29年3月12日から施行された認知症に係る自動車運転免許制度の改正についても、専門外来にて免許の返納について相談もお受けしながらの診断書作成など皆さんの思いを大切に適切な対応を心がけています。
 神経難病医療においては、パーキンソン病や砺波地方に多い遺伝性の変性疾患を主に対象としており、長い療養を要するなかで在宅家族を支援するためのレスパイト入院や理学療法士を増やしてのリハビリテーションにも力を入れていきます。さらに外来では、パーキンソン病や変性疾患の専門外来に加えて、遺伝相談も受けております。
 重症心身障がい者医療においては、重度精神遅滞で運動機能が保たれているために結果的に強度行動障がいとなってしまう方やてんかんなどを合併する方々を対象とした病棟を有しており、県内各地からの入院を受け入れるとともに、近年では県外からの問い合わせも多くなっています。そこでは、看護師、児童指導員、保育士、療養介助員、作業療法士、理学療法士、心理士や医師など多職種のスタッフが専門性を生かして人権に配慮しながら個別的かつ包括的な医療を提供しています。
 また、古田元院長が始めた睡眠障がい(過眠症や睡眠時無呼吸症、不眠症など)に関する専門的医療を継続しており、平成27年には富山県内唯一の日本睡眠学会による睡眠医療認定施設となりました。平成29年には認定医を中心に睡眠医療センターを立ち上げて、終夜睡眠脳波検査や反復睡眠潜時検査などを用いたナルコレプシーや概日リズム睡眠障害など過剰な眠気を伴う過眠症の医療、および認知行動療法の専門医や臨床心理士による不眠症に対する非薬物療法等をより一層充実させていきたいと考えています。
 今後につきましては、国立病院機構を構成する全国140病院の一つとして医療政策を担うとともに、当院の基本理念である『生命と人権を尊重し、思いやりに満ちた医療を良心と誠意をもって実践します』のもとに、訪問看護、訪問診療、デイケアなどより地域に密着した医療体制を整備して、地域の方々の安心や健康長寿のために医療、保健、介護、福祉などさまざまな分野で少しでも貢献できるよう努めていく所存です。私たちはだれもが何らかの不利・不得手な面を持ちながらお互い協力し合って人生を歩んでいるものと思われます。それのために不自由な生活が強いられることない社会であるよう、地域の方々のだれもが笑顔でいられる病院をめざします。これまで以上に皆さまのあたたかいご支援とご助言をこころよりお願い申し上げます。
 そして、当院では私どもと一緒に誇りを持って働いていただける仲間を探しています。職種にかかわらずご応募ください。いつでもお待ちしております。