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目的・理念

 当院の臨床研究センターは、診療部門と密接な連携のもとに、精神・神経筋及び呼吸器・小児精神疾患に係る臨床活動を通じて提起される諸問題を究明し、その成果を臨床面に還元することを目的としています。
 基本コンセプトは、(全員診療、全員リサーチ)です。全医師はもちろんのこと、医師以外の職種、すなわち、看護師、薬剤師、臨床検査技師、放射線技師、心理療法士、作業療法士、理学療法士、栄養士、児童指導員、保育士、精神保健福祉士、事務職員などといったすべての職員が、探究心・向上心をもって業務に取り組み、その結果がリサーチに発展していきます。病院職員全員が主導的・相補的にリサーチに取り組むことが、当院の医療レベル・患者サービスの向上、さらには病院運営基盤の安定につながると考えています。臨床研究の成果は患者さんに還元すべきものであるという認識の下、リサーチを介して社会貢献を目指したいと考えています。

組織図

 

 

研究・調査へのお願い

 北陸病院東病棟は医療観察法による指定入院医療機関として、対象者の皆様の治療にあたっています。この治療内容をよりよいものにしていくため、全国の指定入院医療機関で調査や研究が行われており、当病棟も協力しています。

 調査や研究については個人情報を保護することはもちろん、発表についても個人を特定できない配慮を行いますのでご協力いただきますようお願いします。個別性が高い調査や研究については個人的に相談いたします。

 いずれの場合も納得のいかない場合は調査・研究への参加を撤回することができます。詳しくは病棟医長までご相談ください。

 

平成30年4月

北陸病院医療観察法病棟

研究業績

Alterations in inhibitory neuron subtype-selective transcripts in the prefrontal cortex: comparisons across schizophrenia and mood disorders. Takeshi Okuda$, Sohei Kimoto$, Rika Kawabata, Yufan Bian, Makoto Tsubomoto, Kazuya Okamura, John F. Enwright, Mitsuru Kikuchi, David A. Lewis* and Takanori Hashimoto*. $These authors contributed equally. *corresponding author
Psychological Medicine 54(14):3896-3905 (2024) , DOI:10.1017/S0033291724002344

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Expression of activity-regulated transcripts in pyramidal neurons across the cortical visuospatial working memory network in unaffected comparison individuals and individuals with schizophrenia. Yufan Bian, Rika Kawabata, John F Enwright, Makoto Tsubomoto, Takeshi Okuda, Kohei Kamikawa, Sohei Kimoto, Mitsuru Kikuchi, David A Lewis*, Takanori Hashimoto* * corresponding author
Psychiatry Research 339:116084. (2024) doi:10.1016/j.psychres.2024.116084.


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当院で行われている臨床研究について

1.認知症栄養補助食品摂取者の全般的機能の経時的検討
研究実施責任者:吉田 光宏
倫理委員会承認番号:R02-12
研究期間:2022年10月―2024年3月
研究の概要:認知症高齢者におけるアパシーは、非薬物・薬物療法に反応しにくい行動心理症状である。近年、認知症サプリメントの有用性が報告されているが、エビデンス的には、確立されているとはいいがたい状況である。認知症サプリメントであるMガードを摂取している患者におけるアパシー、全般的認知機能の変化を認知症予防学会認定(グレードC)の栄養補助食品であるフェルガード®︎100M摂取者と比較し、その安全性、効果を検討する。

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2.精神疾患における感情制御障害のメカニズム
研究実施責任者:橋本隆紀
倫理委員会承認番号:R04-12
研究期間:2023年1月-2027年12月
研究の概要:本研究では、統合失調症、双極性感情障害(双極性障害)、大うつ病(うつ病)の患者において、怒りや不安などの陰性感情制御の特性および処理速度、注意、視覚学習、作業記憶、言語学習、実行機能、社会認知など認知機能の各ドメインにおける能力を、臨床尺度およびコンピュータを用いた検査により定量化し、感情制御と関係のある認知機能ドメインを同定する。

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3.統合失調症の認知機能検査BACS-Jに関する研究
研究実施責任者:芹山尚子
倫理委員会承認番号:R04-14
研究期間:2023年2月‐2025年3月
研究の概要:本研究では、統合失調症の患者データの特徴を再検討することを目的とし、2017年9月~2022年6月までの間に当院にて統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版およびウエクスラー成人知能検査を受けた方を対象として、診療録を元に後方視的にデータを収集する。収集されたBACS-Jと患者の個人背景や他の認知機能検査の数値との比較を行い、今後の患者の認知機能障害の評価や支援立案に役立つ情報を得る。

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4.後期パーキンソン病の予後に関する多施設共同前向き研究
研究実施責任者:小竹泰子
倫理委員会承認番号:R05-10
研究期間:2024年2月‐2028年3月
研究の概要:PDの研究あるいは際床試験は早期診断・治療に焦点が当てられ、後期PD(Late stage Parkinson's disease,LSPD)に関するエビデンスは乏しく、わが国におけるLSPDのデータは存在しない。本研究では、LSPD患者を対象とし、運動機能、認知機能、栄養状態、QOL、介護の状況を評価する。さらに機能予後、生命予後、イベント発生を前向きに調査し、症例登録時との関連を検討する。

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5.認知症治療病棟での転倒から生じた頭部外傷事例の振り返り
~RCA分析で得られた根本原因を基に実施した来策~
研究実施責任者:山田士郎
倫理委員会承認番号:R05-11
研究期間:2024年3月‐2024年10月
研究の概要:認知症高齢者はコミュニケーション障害などのため、転倒につながる危険行動を引き起こしやすい。今回当院認知症治療病棟において夜間に転倒によるインシデントが生じた。しかし、インシデント発生直後には当直医師・師長に報告が行われず、翌朝のラウンド時に報告し、当直医師の診察にて2針縫合が必要な医療事故が発生した。本事例に対し、RCA分析で得られた根本原因をもとに対策につなげることが出来たため報告する。

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6.北陸病院における認知症外来初回受診患者の栄養状態の傾向分析
研究実施責任者:佐藤香鈴
倫理委員会承認番号:R06-1
研究期間:2024年4月‐2024年10月
研究の概要:認知症は、高齢者の健康に関連する重要な問題の1つであり、日本では、超高齢化社会を背景に発生率が増加している。認知症患者は栄養状態に与える要因が多いため、簡易栄養状態評価を用いてスクリーニングを行い必要に応じて介入を行なうことで、認知症の進行や合併症のリスクを低滅することが期待されている。本研究では、当院認知症外来患者を対象に、栄養状態についてMNA-SFのスクリーニング値ごとに比較検討を行い、栄養状態の傾向を調査する。

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7.精神科病院の認知症治療病棟に入院している患者の家族介護者が抱く思い
研究実施責任者:松井常二
倫理委員会承認番号:R06-2
研究期間:2024年7月‐2025年3月
研究の概要:本研究の目的は、自宅から精神科病院の認知症治療病棟へ入院している認知症高齢者の家族介護者の思いを明らかにすることである。そこで、精神科病院の認知症治療病棟に入院中の認知症高齢者を介護してきた家族介護者は、介護に対してどのように捉えているのか明らかにすることにより、家族介護者の思いを支える支援について示唆を得ることが可能となり、認知症高齢者の家族文援への一助となる。


8.認知症患者への与薬時の患者認証導入後の検証~看護師の困難感の変化~
研究実施責任者:林祐也
倫理委員会承認番号:R06-3
研究期間:2024年7月‐2024年11月
研究の概要:当院認知症治療病棟では重度の認知症患者を多く受け入れている。疾患の特性上、看護師にとって患者を認証する手段が少ない。困難の要因として3カテゴリーが抽出され、さらに与薬事故が起きやすい現状の与薬体制を変更していくことへの躊躇も明らかになった。そのため客観的な患者認証手段を導入することにより看護師が与楽時に感じる困難への影響を評価し、看護師の困難を考慮した安全な与薬方法を検討する一助としたい。

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9.妄想からなる多飲症患者への関わり~トークンエコノミー法の活用~
研究実施責任者:本多大地
倫理委員会承認番号:R06-4
研究期間:2024年7月‐2024年10月
研究の概要:研究対象者は、慢性期統合失調症であり、多飲水行動が認められている。現在まで1日の中で体重が+3~5kgを超えることも度々認められており、このまま妄想による多飲水を優先すると、飲水量の増加により水中毒へと悪化し生命の危機へと繋がる可能性がある。今回トークンエコノミー法を活用し、報酬獲得に目を向け、目標達成することで飲水量が減少し、IADLの改善及び意識の変化に繋がるのかを明らかにしたいと考えた。

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10.高齢の動く重症心身障がい者の意思決定支援~人生観を重視した関わりを振り返る~
研究実施責任者:加藤麻紀
倫理委員会承認番号:R06-5
研究期間:2024年7月‐2024年9月
研究の概要:重症心身障がい児 (者)は健常者の1.5倍のスピードで老化が進むと言われており、重心患者の高齢化は喫緊の課題となっている。意思決定支援を行うにあたり、快適に過ごしながら終末期を迎えることについて、どのような関わりや何を必要とすればよいのかに悩み、戸惑いを感じた。そこで人生観を重視した関わりについて多職種と意思決定支援カンファレンスし、意見を出しあった結果を実践し効果を考えることを目的とし、今後の課題を明らかにしていきたい。

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